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【第一回】「騙す」のは古い?プロマジシャンが明かす、観客と「目撃者」になる技術

【第一回】「騙す」のは古い?プロマジシャンが明かす、観客と「目撃者」になる技術

更新日: 2026年6月10日 16:47

こんにちは、マジシャンの林王子です。

今日から、僕自身がパフォーマンスをする上で大切にしている「マジックの哲学」や「考え方」について、このブログで少しずつ書き綴っていこうと思います♪

マジックのパフォーマンスを構築する上で、僕は大きく分けて3つの表現手法があると考えています。それが「殺人者」「目撃者」「被害者」という3つのスタンスです。

マジックにおける3つの表現手法「殺人者・目撃者・被害者」とは?

読み込み中...マジックの表現は、誰が主体となって不思議な現象を引き起こしているかで、大きく3つに分類できます。

◯1つ目は「殺人者」のアクト

これは「私が不思議なことを起こしました」とマジシャン自身が主導する演技です。例えば、サインしたカードを束の中に入れ、マジシャンが指を鳴らすと一番上に上がってくる。マジシャン自身が魔法使いとして振る舞うスタイルです。

◯2つ目は「目撃者」のアクト

マジシャン自身が魔法を使うのではなく「こんな不思議な現象があるから、一緒に見てみましょう」と、観客と同じ視点に立ち、不思議なものを目撃して共有する演技です。

◯3つ目が「被害者」のアクト

マジシャンが意図していないのに、なぜか不思議なことが起きてしまい、マジシャン自身が翻弄されてしまう演技です。

表現として一番難しいのは「被害者」です。

一歩間違えると「種を知っているのにわざとらしい大根役者だ」と思われてしまいリアルすぎても「この人大丈夫か?」と不安にさせてしまいます。

この中で僕自身が一番好きで大切にしているのは「目撃者」としてのスタンスです。

「騙されないぞ」という観客の防御心を解く「共体験」のスタンス

読み込み中...なぜ「目撃者」のスタンスが重要なのでしょうか。

マジシャンが「私がやりました。すごいでしょ?」という殺人者のスタンスで演じると、観客の心の中には「騙されて悔しい」「どうやってやってるのか見破ってやる」というネガティブな感情や防御心が生まれやすくなります。

とくに日本の文化において、この「騙されないぞ」という空気感は非常に強く出がちです。

林王子のマジックの本質は観客を騙してマウントを取ることではなく、不思議な現象を一緒に楽しむことにあります。

「目撃者」として観客の隣に立ち「こんな面白いものがあるから一緒に見てみましょう」と不思議を共体験することで、観客の防御心は自然と解けていきます。

「騙された」という感覚から「面白いものを見られた」という純粋な喜びに変わるのです。

現象は『殺人者』でも、心は『目撃者』~悔しさを生まないパフォーマンスの極意~

読み込み中...

もちろん、僕が普段演じているマジックの中には、現象だけを見ると「殺人者」的なアクトもたくさんあります。しかし、現象の構造がどうであれ、演じる側の「心(気持ち)」がどこにあるかが最も重要です。

現象としては「殺人者」であっても、僕の心の中は常に「目撃者」です。

「私が騙している」のではなく、「この面白い不思議を一緒に楽しもう」という心境で舞台に立っています。この気持ちがあるだけで、観客に不自然な「ドヤ顔」を見せつけることなく、不快な感情やヘイトを集めることはありません。

不思議な現象を目の前にしたとき、観客が悔しさではなく、純粋な驚きと楽しさを持ち帰ってくれること。一緒に不思議を楽しむ「調和」の空間を作ることこそが、僕のパフォーマンスの根幹です。

これから1年間、こうしたマジックの裏側にある理論や、僕なりのこだわりを毎週紐解いていきます。ぜひ次回もお楽しみに!

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